マルシェで手作りお菓子を売るなら、これだけは書いて ― 個人販売者のための食品表示ガイド【2026年最新】

手作りクッキーを透明袋に詰めている手元、奥にラベル用プリンター お菓子の作り方
包装販売するなら、ラベル1枚が命綱。

「マルシェで自分の焼き菓子を売ってみたい」
「クッキー缶を委託販売してもらえることになった」
そんな相談が、菓子屋を50年以上やっている私たちのところにも、ここ数年ぐっと増えました。

嬉しい流れです。手作りの温度が伝わるお菓子が、直接お客さんの手に渡る文化が広がるのは素敵なこと。

でも同時に、心配なこともあります。食品表示のルールを”知らないまま”売ってしまっている個人販売者が多いことです。「知らなかった」では済まない場面 ― アレルギー事故、体調不良のクレーム、行政指導 ― に至るケースが、SNSでもたびたび流れてきます。

この記事は、マルシェで手作りお菓子(クッキー・焼き菓子・ジャム・パウンドケーキなど)を包装して売る個人販売者に向けて書いた、食品表示の実務ガイドです。対面販売のポイントも含みます。

長いです。でも一度読んでもらえれば、「何を書けばいいか」「なぜ書くのか」が全部わかるように作りました。ブックマークして、必要なときに戻ってきてください。


  1. そもそも食品表示って、なぜ必要?
    1. 違反すると、どうなる?
  2. 包装販売と対面販売、何が違う? ― なぜ対面は”一部”免除されるのか
    1. でも、対面でも”絶対に省略できない”情報がある
  3. 【必須】包装販売で書くべき8項目
    1. ① 名称
    2. ② 原材料名(重量順)
      1. 【重要】第一原材料の原産地表示も義務です
      2. 実物の表示例(当店の商品より)
    3. ③ 添加物
    4. ④ アレルギー物質 ⭐️最重要
      1. 特定原材料(表示義務)― 9品目
      2. 特定原材料に準ずるもの(表示推奨)― 約20品目
      3. 書き方の例
    5. ⑤ 内容量
    6. ⑥ 消費期限/賞味期限
    7. ⑦ 保存方法
    8. ⑧ 製造者(氏名・住所)
  4. 栄養成分表示は必要? ― 免除される条件と、それでも書くメリット
    1. ただし、以下は”免除”されます
    2. でも、書いた方がいい理由
    3. 【朗報】AIを使えば計算の労力は10分の1に
  5. 対面販売の場合、”これだけは必ず”伝える
  6. よくある失敗5選
    1. ❌ 失敗1:「無添加」の使い方があいまい
    2. ❌ 失敗2:期限を”感覚”で決めている
    3. ❌ 失敗3:アレルギー欄が空欄
    4. ❌ 失敗4:文字が小さすぎる/読めない
    5. ❌ 失敗5:加工食品の中身の表示漏れ
  7. ラベル印刷の実務 ― まずは家にあるプリンタで
    1. ステップ1:家庭用インクジェット/レーザー + A4ラベルシート
    2. ステップ2:慣れてきたらサーマルラベルプリンタへ
      1. おすすめ1:Brother QL-820NWB
      2. おすすめ2:Brother P-touch CUBE(PT-P710BT / PT-P910BT)
  8. 迷ったら、迷わず保健所へ
  9. まとめ:印刷して使えるチェックリスト
  10. 公式資料リンク
  11. アフィリエイトに関する免責事項

そもそも食品表示って、なぜ必要?

日本では 食品表示法(2015年4月施行)という法律で、加工食品を売るときの表示ルールが決まっています。

なぜこんな法律があるのか。理由はシンプルです。

お客さんは、パッケージの中身を見ることができないから。

お店で並んだクッキーの袋を開けて、中身をじっくり吟味してから買うことは、普通できません。だから 袋の外に貼られた”1枚のラベル”だけが、お客さんの唯一の判断材料 になります。

  • 何が入っているか
  • アレルギー物質は含まれるか
  • いつまでに食べればいいか
  • 誰が作ったのか

これが分からなければ、お客さんは安心して買えない。特にアレルギー体質の方や、お子さんに食べさせるお母さんにとっては、命に関わる情報です。

「情報の非対称性を解消するために、売り手側に開示義務を課す」 ― これが食品表示法の根っこにある考え方です。

違反すると、どうなる?

食品表示法違反には、以下のようなペナルティがあります。

  • 回収命令:市場に出したお菓子をすべて回収する
  • 行政指導・改善命令:保健所から改善を求められる
  • 業務停止命令:悪質な場合は営業できなくなる
  • 罰金・懲役:最悪の場合は刑事罰

でも一番怖いのは、信用の失墜です。SNS時代、一度「あそこの手作り菓子でアレルギー事故があった」と広がれば、取り返しがつきません。

ルールを守ることは、お客さんの命を守ることであり、自分の店舗、商品ブランドを守ることでもあるのです。


包装販売と対面販売、何が違う? ― なぜ対面は”一部”免除されるのか

食品表示法のルールは、販売の仕方によって、書く項目が少し変わります。

  • 包装販売:パッケージ済みで手渡し(クッキーの袋、瓶詰めジャムなど)→ 全項目を袋に表示する義務あり
  • 対面販売:その場で切り分けたり、はだかのまま手渡し → 一部の項目が書面表示を免除される

「なぜ対面は緩いの?」と思うかもしれません。

答えは、”お客さんがその場で確認できるから” です。

食品表示は、繰り返しになりますが「情報の非対称性を解消する」ためのルール。対面販売なら、お客さんはその場で作り手に 「これ何入ってる?」「アレルギーは?」と聞ける。売り手は答えられる。書面を用意しなくても、情報開示の目的は達成できるわけです。

でも、対面でも”絶対に省略できない”情報がある

対面販売でも、次の3つは省略できません

  1. アレルギー物質:うっかり出せば命に関わる。POPや店頭表示で明示、あるいは口頭でも必ず伝える
  2. 消費期限:口頭では記憶に残らず、家に持ち帰った後にお客さんが判断できない
  3. 製造者情報:万が一の追跡・連絡のため

つまり、“その場で消費者が判断できるか/できないか” が線引きの根本原理です。

マルシェで焼き菓子を袋に入れて売るなら、それは”包装販売”です。以下では包装販売を軸に、必要な項目を1つずつ解説していきます。


【必須】包装販売で書くべき8項目

以下、袋やシールに書くべき8つの項目を、「なぜ必要か → 何を書くか → 良い例/悪い例」の順で説明します。

① 名称

なぜ必要か:お客さんが「これは何?」を最初に理解する情報。ふわっとした商品名だけでは、法律上「名称」になりません。

何を書くか:一般的な名称を書きます。商標や愛称ではなく、“食品として何にあたるか” を示す言葉。

  • ❌ 悪い例:「特製ジャム」「季節のお菓子」「新月堂スペシャル」
  • ⭕️ 良い例:「いちごジャム」「クッキー」「パウンドケーキ」「マドレーヌ」

商品名と名称は分けて書いてOKです。「商品名:夏いちご/名称:いちごジャム」のように併記できます。

② 原材料名(重量順)

なぜ必要か:中身が分からないと、宗教的・思想的理由(ヴィーガン、宗教制限など)で食べられない人が判断できません。また、含有量の目安も分かるべき情報です。

何を書くか使用量の多い順に、すべての原材料を書きます。

  • ⭕️ 良い例:薄力粉(国内製造)、バター、砂糖、卵、牛乳、バニラエッセンス

添加物を使っている場合は、原材料と分けて書きます(次項目参照)。

重量順にする理由は、「一番多く入っているのは何か」を消費者に伝えるため。「バター100%」と謳っているのに、実際にはマーガリンの方が多い……といった誤認を防ぐ仕組みです。

【重要】第一原材料の原産地表示も義務です

2017年の食品表示基準改正により、加工食品では重量順1位(第一原材料)の原産地表示が義務になりました(2022年3月末で経過措置終了)。

書き分けのルール:

原材料の種類表示方法
生鮮原料(小麦・豚肉・牛乳など)産地(国名 or 県名)小麦(アメリカ産)、牛乳(北海道産)
加工原料(小麦粉・砂糖・バターなど)製造地(〇〇製造)薄力粉(国内製造)、バター(オーストラリア製造)

「小麦粉」と書けば製造地、「小麦」と書けば産地、というルールです。上の良い例の 薄力粉(国内製造) は、日本国内で製粉された小麦粉を使っている場合の書き方。輸入小麦を国内で製粉していれば、原料の小麦の産地はどこでも「国内製造」と書きます。

実物の表示例(当店の商品より)

新月堂の商品ラベル実例。原材料・アレルギー・保存方法(10℃以下)・栄養成分(製造者情報はモザイク)
当店の商品ラベル。第一原材料の「(国内製造)」、添加物の「/」区切り、アレルギー一括表示、栄養成分の推定値表記が確認できる。

文字で説明するより、実物を見るのが一番。当店の商品パッケージに使っているラベルを参考にどうぞ(製造者情報は伏せています)。第一原材料の「(国内製造)」、添加物との「/」区切り、「(一部に小麦・大豆・乳・卵を含む)」の一括表示、栄養成分表示の「(推定値)」表記など、この記事で説明した要素がすべて盛り込まれています。

③ 添加物

なぜ必要か:食品添加物にアレルギーや不耐性を持つ方、体質的に避けたい方への情報開示のため。

何を書くか:原材料名の後ろに、スラッシュ「/」で区切って列挙します。

  • ⭕️ 例:薄力粉(国内製造)、バター、砂糖、卵/膨張剤、乳化剤

一部の添加物には 「用途名の併記」が義務 です:

用途併記例
甘味料甘味料(キシリトール)
着色料着色料(カラメル)
保存料保存料(ソルビン酸K)
増粘剤・安定剤・ゲル化剤増粘剤(ペクチン)
酸化防止剤酸化防止剤(V.C)
発色剤発色剤(亜硝酸Na)
漂白剤漂白剤(亜硫酸塩)
防かび剤・防ばい剤防かび剤(OPP)

「無添加」と書くリスク:一切の添加物を使っていない場合でも、「無添加」の表記は近年ルールが厳格化されました。具体的に「何が」無添加なのかを明示しない書き方は、優良誤認と見なされる可能性があります。単に「無添加」ではなく、「保存料不使用」「着色料無添加」など、対象を明記しましょう。

④ アレルギー物質 ⭐️最重要

なぜ必要か命に関わるからです。
食物アレルギーは、重度の場合アナフィラキシーショックを起こし、対処が遅れると命を落とすことがあります。ラベル1枚が生死を分ける、と言っても過言ではありません。

何を書くか:以下の特定原材料(表示義務)9品目が含まれる場合、必ず表示します。

特定原材料(表示義務)― 9品目

えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)、カシューナッツ

  • くるみは2023年3月に、カシューナッツは2026年4月に義務化されました
  • カシューナッツは2028年3月末まで経過措置期間ですが、新規で表示を作るなら2026年時点でも記載を推奨します

特定原材料に準ずるもの(表示推奨)― 約20品目

アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン ほか

こちらは義務ではなく推奨ですが、書いた方が信頼されます

書き方の例

個別表示:原材料名それぞれの後ろに (小麦を含む) のように書く方式

薄力粉(小麦を含む)、バター(乳成分を含む)、卵、砂糖、アーモンドプードル(アーモンドを含む)

一括表示:原材料欄の最後にまとめて書く方式

薄力粉、バター、卵、砂糖、アーモンドプードル
(一部に小麦・乳成分・卵・アーモンドを含む)

どちらでも構いませんが、一括表示は書き漏れやすいので、初心者は個別表示から始めるのがおすすめです。

⚠️ 絶対にやってはいけないこと

  • アレルギー欄を 空欄 にする(含まない場合でも「特定原材料等:使用していません」と明記)
  • 「たぶん入っていない」で書かない(原材料一つひとつの成分表を確認)
  • バターに乳、マーガリンに乳成分が含まれることを見落とす
  • 市販の粉類(例:ホットケーキミックス)に小麦・卵・乳が入っていることを見落とす

最新の品目は必ず消費者庁:食物アレルギー表示に関する情報で確認してください。

⑤ 内容量

なぜ必要か:「これは1回で食べる量か、家族で分けるサイズか」を判断する情報。価格妥当性の判断材料でもあります。

何を書くか:単位を明記して書きます。

  • 重さ:100g(グラム)
  • 液体:200mL(ミリリットル)
  • 個数:5枚 6個入り

個包装のクッキーなら「1枚10g × 5枚(総重量50g)」のように書くと親切です。

⑥ 消費期限/賞味期限

なぜ必要か:「いつまでに食べればいいか」の判断材料。特に手作り菓子は保存料を使わないケースが多いため、期限管理は特に重要です。

何を書くか:以下のどちらかを選び、日付を明記します。

種類使い分け
消費期限品質が急激に劣化する食品(製造から概ね5日以内)。過ぎたら食べない生ケーキ、洋生菓子、生クリーム使用の焼き菓子、生のフルーツを使ったお菓子
賞味期限品質が比較的緩やかに劣化する食品(製造から概ね5日を超える)。過ぎても即危険ではないクッキー、焼き菓子(水分の少ないもの)、瓶詰めジャム、パウンドケーキ

⚠️ 期限の算出は”自己申告”ではダメ

期限は「なんとなくこれくらい持ちそう」で決めるのではなく、検査に基づいた根拠が必要です。理想は微生物検査(一般生菌数・大腸菌群など) を検査機関に依頼して、数値の裏付けを取る こと。個人でハードルが高い場合は、保健所や食品衛生協会に相談しましょう。

書き方:消費期限:2026.7.15 or 2026年7月15日(年月日を明記)

⑦ 保存方法

なぜ必要か:期限は「保存条件が守られたとき」の話。適切な保存方法を伝えないと、期限内でも劣化してしまいます。

何を書くか温度で具体的に書きます。

  • ⭕️ 良い例:10℃以下で保存してください 直射日光・高温多湿を避け、常温で保存 冷凍(-18℃以下)で保存
  • ❌ 悪い例:冷所で保存(”冷所”は法令上の定義があいまいで不可)

要冷蔵か・常温か・冷凍か、どれに該当するかを判断できるようにしましょう。手作り生菓子は基本”要冷蔵10℃以下”、焼き菓子で水分が少ないものは”常温” が目安です。

⑧ 製造者(氏名・住所)

なぜ必要か万が一の追跡・連絡のため。食品事故が起きたとき、行政や消費者が製造元にコンタクトできる状態を保つのが目的です。

何を書くか製造した人の本名と、実際の所在地を書きます。

  • ⭕️ 良い例:製造者:山田花子/〒418-0000 静岡県富士宮市〇〇町1-2-3
  • ❌ 悪い例:屋号だけ(Hana's Kitchen)、市名までしか書かない、私書箱

なぜ本名か:法的な責任主体を明確にするためです。屋号を併記するのは自由ですが、必ず本名を書く必要があります。

自宅住所を書きたくない方は多いと思います。その場合は間借りしている工房の住所や、シェアキッチンの住所を書くことは可能です(そこで実際に製造している場合に限る)。菓子製造業許可の取得場所と一致させてください。


栄養成分表示は必要? ― 免除される条件と、それでも書くメリット

栄養成分表示は、原則すべての加工食品で義務 です。表示するのは以下の5項目

  1. 熱量(kcal)
  2. たんぱく質(g)
  3. 脂質(g)
  4. 炭水化物(g)
  5. 食塩相当量(g)

「〇〇g(または100gあたり、1包装あたりなど)」の形式で明記します。

ただし、以下は”免除”されます

食品表示基準では、次のようなケースで栄養成分表示が免除されます。

  • 小規模事業者消費税免税事業者(課税売上高1,000万円以下)
  • 表示可能面積が30cm²以下の極小容器(1枚のシールが貼れないような小さな包装)
  • 短期間で原材料が頻繁に変わる食品(日替わりメニューなど)
  • 酒類
  • 業務用食品
  • その他、栄養成分の量が微量な食品

個人・副業でマルシェ販売しているレベルの方は、まず「消費税免税事業者」に該当します。つまり、多くのマルシェ販売者は栄養成分表示が免除される ということです。

でも、書いた方がいい理由

免除されるから何も書かなくていい、というわけではありません。書いた方が良い理由が3つあります。

  1. 信頼につながる:「ちゃんとしているお店」という印象。特にダイエット意識の高い層に響く
  2. 他店との差別化:手作り市場では、栄養情報を書いている個人販売者はまだ少数派
  3. 将来の事業拡大時にスムーズ:売上が伸びて課税事業者になったとき、慌てず対応できる

【朗報】AIを使えば計算の労力は10分の1に

以前、栄養成分表示は「材料一つひとつの成分表を手で調べて、電卓で分量に合わせて計算する」という気の遠くなる作業でした。1品目に半日かかることもザラ。これがハードルとなって、多くの個人販売者が”免除”に甘えていたのが実情です。

でも、いまは事情が変わりました。

ChatGPTなどのAIに「材料名と分量」を入力すれば、概算の栄養成分値を数秒で計算してくれます。 たとえば:

「以下の材料で焼き菓子を作りました。100gあたりの栄養成分(熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量)を計算してください。
・薄力粉 200g / バター 150g / 砂糖 100g / 卵 100g / 牛乳 50g」

これで一発です。労力はかつての10分の1以下

ベースとなる成分値は、文部科学省の「食品成分データベース」(無料・公式)と同じデータをAIも参照するので、精度もそれなりに信頼できます。

⚠️ 注意点

  • AIの計算は「概算値」です。表示に使う場合は“当社推定値”の一言を添える、または最終確認をおすすめします
  • 正確な数値が必要な場合は検査機関への依頼(1品目1〜3万円程度)が今も選択肢
  • アレルギー物質の判定はAIに頼らず、自分で必ず確認(生命に関わるため)

「昔はプロしか書けなかった栄養成分表示が、いまは個人でも書ける時代」 ― この技術革新を味方につけない手はありません。

まずは免除で始めて、余裕ができたらAIで概算を出して書く。これで十分です。


対面販売の場合、”これだけは必ず”伝える

対面販売(その場で切り分けたり、はだかで渡す販売形式)では、書面表示の一部が免除されますが、次の情報は口頭 or POPで必ず伝えられる状態にしておいてください

  • アレルギー物質:POPで店頭掲示、または「〇〇と〇〇を使っています」と口頭で答えられるように
  • 消費期限:手渡し時に口頭で「今日中にお召し上がりください」など明示
  • 原材料:聞かれたら答えられるよう、メモを手元に
  • 製造者:名刺・ショップカードを渡す

簡単なPOP1枚を用意しておくのがおすすめです。以下の項目を書いておけば、対面販売でも安心:

【本日の販売】
● レモンパウンドケーキ
● 主な原材料:小麦粉・バター・砂糖・卵・レモン・アーモンドプードル
● アレルギー物質:小麦・卵・乳・アーモンド
● 消費期限:本日中(要冷蔵)
● 製造者:〇〇(連絡先はショップカード)

よくある失敗5選

現場でよく見かける失敗パターンをまとめました。心当たりがないかチェックしてみてください。

❌ 失敗1:「無添加」の使い方があいまい

「無添加クッキー」とだけ書くのはNG。何が無添加なのかを明記しなければ、優良誤認になります。
→ ⭕️ 「保存料・着色料不使用」

❌ 失敗2:期限を”感覚”で決めている

「クッキーだから2週間くらい持つでしょ」で決めるのは危険。検査に基づいた根拠を持ちましょう。判断に迷ったら短めに 設定するのが安全です。

❌ 失敗3:アレルギー欄が空欄

「うちのお菓子はアレルギーない自然素材ばかり」と思い込んで空欄にするのは危険。“含まないとき”も「特定原材料等:使用していません」と明記しましょう。

❌ 失敗4:文字が小さすぎる/読めない

法的には8ポイント以上(表示可能面積が150cm²以下の場合は5.5ポイント以上) の文字サイズ規定があります。手書きで走り書き も、読めなければ意味がありません。印刷推奨です。

❌ 失敗5:加工食品の中身の表示漏れ

市販のホットケーキミックスを使ったパンケーキで「原材料:ホットケーキミックス、卵、牛乳」だけ書いてしまうケース。ホットケーキミックスの中身(小麦粉、砂糖、膨張剤など)まで分解して書く必要があります。すべての原材料の栄養成分表を確認しましょう。


ラベル印刷の実務 ― まずは家にあるプリンタで

「ここまで読んで、”じゃあどうやって印刷すればいいの?”って思われた方へ」

答えはシンプル:最初は家庭用プリンタで十分です。

ステップ1:家庭用インクジェット/レーザー + A4ラベルシート

まずはこれで始めましょう。

  • Word / Excel / Google ドキュメントで、ラベルのテンプレートを作る
  • A-one(エーワン)のA4ラベルシートにプリントアウト
  • 剥がして貼るだけ

メリット:

  • 初期コストゼロ(家のプリンタでOK)
  • ラベル用紙は 1枚あたり 30〜50円 程度
  • Wordなら A-one公式の無料テンプレートラベル屋さん)が使える

デメリット:

  • 湿気に弱い(防水加工のシートを選ぶと軽減)
  • 1枚ずつしか出せず、量産には不向き
  • インクが切れると印刷できない

おすすめのラベル用紙

A-one ラベルシール マット紙(A4/10面 or 12面)
Amazonや文具店で入手可。マット紙タイプは印字がにじみにくく、シールも剥がしやすい。「A-one 28648」など耐水タイプは焼き菓子に貼っても長持ちします。
▶ エーワン ラベルシール(A4/12面/100枚)をAmazonで見る

ステップ2:慣れてきたらサーマルラベルプリンタへ

販売数が増えてきて、「ラベル印刷が作業のボトルネック」と感じ始めたら、専用機に移行するタイミングです。

サーマル(感熱)プリンタは:

  • インクがいらない(熱で発色する専用紙を使う)
  • 1枚数円〜10円程度(ランニングコストが安い)
  • 速い(1枚 1〜2秒)
  • 省スペース

マルシェ販売で人気の機種を2つ紹介します。

おすすめ1:Brother QL-820NWB

  • プロ仕様のサーマルラベルプリンタ
  • 幅29mm〜62mmまでの多様なラベルサイズに対応
  • PC・スマホ両方からBluetoothで印刷可能
  • 業界の定番機。中規模の菓子工房でもよく使われている
  • ▶ Brother QL-820NWB をAmazonで見る

おすすめ2:Brother P-touch CUBE(PT-P710BT / PT-P910BT)

  • コンパクトで持ち運びしやすい
  • スマホ専用の”ラベル作成アプリ”で操作できる
  • 素敵なフォント・イラストが豊富
  • マルシェ現場に持って行って、その場で印刷 も可能
  • ▶ Brother P-touch CUBE PT-P710BT をAmazonで見る

選び方の目安

  • 月100枚以下 → 家庭用プリンタで十分
  • 月100〜500枚 → P-touch CUBE
  • 月500枚以上・複数商品 → QL-820NWB

迷ったら、迷わず保健所へ

ここまで長く書いてきましたが、最後に一番大事なことを書きます。

開業前・販売開始前に、必ず管轄の保健所に相談してください。

保健所は「取り締まる怖い場所」というイメージがあるかもしれませんが、実際は 販売者を”守る側” です。開業前に相談すれば、多くの保健所が親切に教えてくれます。

  • 菓子製造業許可の取得場所と要件
  • 食品表示の書き方の確認
  • 消費期限の設定根拠の相談
  • 地域特有のルール(都道府県ごとに細部が違う場合がある)

管轄の保健所は、「〇〇市 保健所 食品衛生」で検索すれば見つかります。マルシェで販売する食品を持って、実物を見せながら相談するのがおすすめです。


まとめ:印刷して使えるチェックリスト

包装販売する前に、以下のチェックリストで確認してください。

【マルシェ販売 食品表示チェックリスト】

□ ①名称は一般的な名称で書いてある
□ ②原材料名は使用量の多い順に書いてある(第一原材料の原産地表記も忘れずに)
□ ③添加物は「/」で区切って書いてある(用途名併記も確認)
□ ④アレルギー物質(特定原材料9品目)を確認して表示
    ⇒ 使っていない場合も「特定原材料等:使用していません」と明記
□ ⑤内容量を単位付きで書いてある
□ ⑥消費期限または賞味期限を年月日で明記
□ ⑦保存方法を温度で具体的に書いてある
□ ⑧製造者の本名・実住所を書いてある
□ 栄養成分表示(免除の場合はスキップOK)
□ 文字は8ポイント以上、印刷で読みやすい
□ 保健所に相談済み・菓子製造業許可あり

公式資料リンク

必ず最新情報を消費者庁で確認してください。


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※本記事は2026年7月時点の情報です。食品表示法・基準は改正されることがあります。実際の販売前には必ず管轄の保健所にご相談ください。

手作りのお菓子を、安心してお客さんに届けられますように。
迷ったらまた、この記事に戻ってきてくださいね。

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