和菓子魂に行ってきました|忍びの菓子屋と、全国に出回らない小豆

和菓子魂で買って帰ったお菓子 甘い旅

10月5日の月曜日。店の定休日を使って、新宿髙島屋の「和菓子魂(わがしだましい)」に行ってきました。

新宿髙島屋の開店30周年を記念した催事で、47都道府県から120店ほどの和菓子屋さんが集まります。会期は10月1日から6日まで。和菓子屋の端くれとして、これは見ておかなければと思っていました。

新宿髙島屋の入口

平日の朝10時、すでに大行列

開場は10時半。10時すぎに着くと、専用のエレベーターで12階へ案内されました。催事の会場は11階です。

着いた時点で、すでに大行列。それでも平日だったので、土日に比べるとスムーズに入れたようです。

入ってすぐは、まだ通路に余裕がありました。ひと回りしているうちに、あっという間に人が増えて、すれ違うのも大変なほどに。

その中で、まず並んだのがお目当ての北海道・五勝手屋本舗さんの「五勝手屋ロール」。パンケーキのようなふわふわの生地に、自慢のあんこを巻いたお菓子です。30分ほど並んで、無事に買えました。

帰ってから、この五勝手屋ロールを、買ったその日と、1日置いてからとで食べ比べてみました。圧倒的に、1日置いたほうがおいしい。あんと生地がなじんで、味のバランスがぐっと良くなっていました。

焼きたては、そのときにしか味わえない、ぜいたくな体験です。それでも、お菓子が本来の味わいになるタイミングで、お客様に届けたい。自分でも意識していることですが、あらためてそう感じました。

和菓子魂の会場前にできた行列

その場で食べた、どら焼きとみたらし団子

並んでいるあいだにお腹が空いたので、会場で食べられるものを。

福島・丹坊さんのどら焼きと、三重県四日市市・夢菓子工房ことよさんのみたらし団子。ことよさんは昭和28年創業、みたらし団子が名物のお店です。

みたらし団子は、コシのあるもちもち感に、香ばしく焼いた焼き目。そこに甘じょっぱいたれ。気づいたら、ペロリと2串食べていました。

夢菓子工房ことよのみたらし団子

忍びの末裔が営む菓子屋

いちばん印象に残ったのは、三重県亀山市・関宿の深川屋さんです。

銘菓「関の戸」で知られる老舗で、いまのご主人が15代目。創業は江戸時代のはじめ、寛永年間と言われ、370年以上続いています。

驚いたのは、忍びの末裔だというお話でした。

深川屋さんには忍びの古文書が残っていて、菓子屋は諜報活動の隠れ蓑だったと言われています。お菓子を献上しながら情報を仕入れたり、流したりしていた——。

お菓子は、ただ甘いだけのものではなかったのだと思いました。和菓子は、その土地の歴史や文化と、ずっと一緒に歩いてきたのだと、あらためて感じた話です。

深川屋さんでは、伝統の「関の戸」を買いました。こしあんを求肥で包み、和三盆をまぶした一口サイズの上品なお菓子です。ひとつ、もうひとつと、ついつい手が伸びてしまうおいしさでした。

全国に出回らない小豆「能登大納言」

もうひとつ、作り手として忘れられない出会いがありました。

金沢の森八さんの店員さんと話していて、「能登大納言」という小豆があることを知りました。森八さんは寛永2年(1625年)創業、加賀藩の御用菓子司を務めてきた老舗です。

能登大納言は、石川県の能登でとれる大粒の小豆です。流通量が少なく、ほとんどが地元で使われてしまうため、全国に出回ることはほとんどないそうです。調べてみると、年間の生産量は50トンほどしかありません。

帰ってから、森八さんで買ったどら焼き「夢香山(むこうやま)」を食べてみると、なるほど。色の濃い、特徴のある粒あんでした。ふっくらした生地に、粒の感じられる甘さ控えめのあんがたっぷり。食べ応えのある、昔ながらの大きさのどら焼きです。

毎日あんこを炊いている身でも、知らない小豆がまだある。和菓子の世界は、本当に奥が深いです。

和菓子魂で買って帰ったお菓子

同じ金沢からは、板屋さんの「こもかぶり」も買ってきました。冬に雪から土塀を守る「こも掛け」をかたどったお菓子で、ひとつずつ手で形を作り、焼き上げているそうです。

※ ほかに買って帰ったのは、丹坊さんのどら焼き(琥珀・落花生)、五勝手屋本舗さんの五勝手屋ロール、伊賀の桔梗屋織居さん、下関の松琴堂さんの「ゆきごろも」など。

あの行列に、希望を感じた1日

会場では、髙島屋の和菓子バイヤー・畑 主税さんのお話も聞くことができました。

全国を歩き回って、大きなお菓子屋さんだけでなく、地元に根づいた小さな和菓子屋さんを口説いて出店してもらったお店もあるそうです。会場のどこを見ても、その思いが伝わってくる催事でした。

和菓子屋の閉店が続くなか、あの行列。しかも並んでいたのは、9割が女性でした。

和菓子は、まだまだ求められている。
作り手として、希望を感じた1日でした。

📌 和菓子魂(新宿髙島屋 開店30周年記念)
会期:2026年10月1日(木)〜6日(火)/会場:新宿髙島屋 11階 特設会場ほか

📌 新月堂(しんげつどう)
静岡県富士宮市青木325-12/電話:0544-27-0114
営業時間:8:00〜19:30/定休日:月曜日

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