小麦粉が上がった。バターも、卵も、光熱費も。大手メーカーは次々と値上げに踏み切る——。
こんな時代、街の小さなケーキ屋は、どう値段と向き合えばいいのか。60年、田舎で和洋菓子店を続けてきた経験から、正直なところをお話しします。値上げは、怖い。でも、やり方さえ間違えなければ、お客様はちゃんとついてきてくれます。新しくお店を開いたばかりの方も、今まさに悩んでいる方も、よかったら参考にしてください。
その1|値上げを恐れず、理由を丁寧に伝える
まず、結論から言います。値上げすべきときは、きちんと価格を上げる。そして、その理由をお客様に伝える。これに尽きます。
あなたのお店に来てくださるお客様は、あなたの作るお菓子が食べたくて来ています。新聞やテレビが値上げの話で溢れる今、お客様のほうから「大丈夫ですか?」と心配してくださることも、少なくありません。事情を丁寧に説明すれば、ほとんどの方が理解してくださいます。
長年修行を積んで、ようやく開いたお店です。自分の作るお菓子に、自信と誇りを持ちましょう。
その2|「便乗値上げ」はしない。まず原価を精査する
自信を持ったら、次は戦略です。ただし、むやみに上げるのは禁物。大切なのは「値上げすべき部分を、きちんと値上げする」ことです。
そのためにも、まずはどの材料がどれだけ上がっているかを、改めて精査してみてください。たとえば小麦粉が1kgあたり200円上がったとして、お菓子1個に換算するといくらになるか。——案外、少額に感じるはずです。便乗値上げは避け、この機会に丁寧な原価計算と見直しを。
とはいえ、この数年の値上げは、半端ではありません。バター、チョコレート(ココアも含めて)、チーズ——そして見落とされがちですが、いちばん効いているのが包装材料です。正直に言って、個人店はもう、限界に近づきつつあります。
光熱費もまだまだ先が見えない、不安定要素です。価格に転嫁するかどうかは、地域性や他商品とのバランス、人件費や家賃によって変わります。ただ、ひとつだけ。——自分の労働を、タダにしないこと。これだけは、守ってください。
その3|価格の理由を「見える化」する
適正価格が決まったら、自信を持って売りましょう。
そのとき大切なのが、値上げの理由を、お客様に見える形で伝えること。考え抜いて決めた金額には、必ず説明できる理由があるはずです。張り紙でも、SNSの投稿でも構いません。自分の考えを発信することが、今の時代はとても大切です。
丁寧に伝えれば、賛同してくださるお客様が残ってくれます。そのお客様こそが、お店にとっての、何よりの財産です。
その4|価格改定と同時に「商品ラインナップ」も見直す
参考までに——価格の見直しと一緒に、アイテム数の見直しも効果的です。
具体的には、人気商品をアレンジして新しいバリエーションを足しつつ、売れ行きの芳しくない商品を思い切って廃盤にする。こうすれば、品数を減らさずに、仕入れる品目だけを絞れます。ロスが減り、手間も減り、結果として原価を抑え、利益を生みやすくなります。私自身この方法で、ずいぶん負担が軽くなりました。
その5|高い洋材料に頼りすぎない——和の素材を取り入れる
もうひとつ、私が近頃のお菓子屋さんにすすめているのが、和の素材を少し取り入れることです。
バターやチョコレートが高騰しているなら、いっそ、小豆や餡に目を向けてみる。原価を抑えられるうえに、商品にも新しい変化が生まれます。洋菓子一辺倒だったお店に和の食材を加えるだけで、品揃えにぐっと幅が出る。当店は和洋どちらも手がけてきたからこそ、この強みを実感しています。私自身、この工夫を少しずつ進めているところです。
まとめ
今回は、原料高騰の時代を生き抜くための考え方をお伝えしました。
すべてを受け入れてほしいわけではありません。少しでも、経営のヒントになれば嬉しいです。私も60年、試行錯誤を重ねながら、近所にお菓子屋さんが増えるなかでも、たくさんのお客様に支えていただいてきました。
個人店の強みは、なんといっても柔軟に動けること。同じ境遇を、一緒に乗り越えていきましょう。地元に愛されるお菓子屋さんを、ともに目指して。——最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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静岡県富士宮市青木で60年以上続く、地元に愛される和洋菓子の老舗です。
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営業時間:火〜日 8:00〜19:30(月曜定休)/住所:静岡県富士宮市青木325-12


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