ケーキ屋は結構重労働

早朝の厨房で生地を扱う職人と立ちのぼる湯気 お菓子語り

ショーケースに並ぶケーキは、どれも華やかで、軽やかに見えます。

でも、その裏側は——正直に言えば、なかなかの力仕事の世界です。

これからパティシエを目指す方、とくに増えてきた女性の方へ。華やかさだけを見て飛び込むより、現場を知って覚悟して入るほうが、絶対に長続きします。だから今日は、あえて“大変なこと”を正直にお話しします。

材料を運ぶ力が必要

まず、最初の関門が「材料運び」です。

スポンジケーキの材料は、卵・砂糖・薄力粉。シンプルに聞こえますよね。でも業務用となると話は別です。卵は10kgの箱、砂糖は20〜30kg、薄力粉は25kgの袋で届きます。

搬入は材料屋さんがしてくれますが、いざ使うとなれば自分たちで動かさなければなりません。倉庫が遠い、2階にある——そんな環境だと、これが毎日、じわじわと腰にきます。女性にはなかなかの重さです。腰を痛める前に、持ち方・運び方の工夫を早めに身につけてください。

生地を持ち上げる力も必要

運べたら、次は「持ち上げる力」です。

スポンジ生地は、まとめて仕込みます。大きなミキサーボウルで卵と砂糖を泡立て、薄力粉を合わせる。このボウルを持ち上げて型に流し込む作業が、意外と重いんです。

ボウルは20コート・30コート・40コートと、大きくなるほど重くなります。30コートを超えると、コツだけでは足りず、腕の力が要る。大きいサイズは柄杓で小分けして流す手もありますが、それでも生地の入ったボウルを動かす力は欠かせません。

火傷のリスクがある

力仕事の次は、熱との戦いです。

生地をオーブンに入れ、焼き上がったスポンジを取り出す——この作業には、火傷がつきものです。とくに奥のものを取り出すとき、手前の扉の角に腕が触れる。これが、よくあるんです。

私は背が低いので、2段目のオーブンで何度もやりました。右腕には、今も跡が残っています。消えるまでには、本当に時間がかかる。女性はとくに気になると思います。長袖のアームカバーなどで、早めに守ってください。

手荒れにも注意

そして、地味だけれど侮れないのが「手荒れ」です。

洋菓子は油脂を多く扱うので、道具はお湯と洗剤でしっかり洗います。入りたての頃は洗い場が主な持ち場になることも多く、これが冬場のしもやけ・あかぎれの原因になります。

手袋は細かいところが洗いにくいのが難点。だからこそ、洗い終わったらすぐ水気を拭き取る習慣を。ハンドクリームもこまめに。小さな積み重ねが、あなたの手を守ります。

もうひとつの重労働——心のこと

ここまでは、身体の話でした。でも、正直にお伝えしておきたい“もうひとつの重労働”があります。心の負担です。

ハッキリ申し上げて、給料が高い職種ではありません。小さな頃からの夢を実現するには、今はずいぶんとハードルが高くなっているのが実情です。

身体だけでなく、心の健康も同じくらい大切です。そのバランスをどう保つか——正直に言えば、これという良い答えは、私にもまだありません。

ただ、ひとつ思うことがあります。同じ道を歩む仲間をつくること。これが、とても大事だということです。つらさを分かち合い、工夫を教え合える仲間がいれば、心の重さはずいぶんと軽くなります。どうか、ひとりで抱え込まないでください。

それでも、この仕事を選ぶ理由

——力仕事、火傷、手荒れ。これが、パティシエという仕事のもうひとつの顔です。修行中だけでなく、独立してからもずっとついてまわります。

でも、知っていれば対処できます。工夫次第で、ずいぶん楽にもなる。だから私は、夢を持ってこの世界に入る方にこそ、先に現場のリアルを伝えておきたかったのです。

それでも飛び込んできてくれる人を、業界みんなで待っています。覚悟を決めたあなたを、心から歓迎します。


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静岡県富士宮市青木で60年以上続く、地元に愛される和洋菓子の老舗です。

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営業時間:火〜日 8:00〜19:30(月曜定休)/住所:静岡県富士宮市青木325-12

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