コンベクションオーブンはケーキ屋さんに必要か?

お菓子の作り方

FMIというメーカー主催の講習会でスチームコンベクションオーブンを実際に体験してきました。これからケーキ屋を開業される方、導入を検討している方に向けて、現場目線での率直な感想をお伝えします。

進化したオーブン|UNOX BAKERTOP

一般的なオーブンは上下の熱線でオーブン全体を温めて焼成しますが、スチームコンベクションオーブン(スチコン)はスチームの熱をファンで循環させて焼成します。今回の講習で使用したのはUNOX BAKERTOP(XJBC06EU-EPRM)です。

このモデルの進化した点は2つです。まず、ファンの数が増えて焼きムラが減ったこと。次に、UNOX独自の「パルスファン機能」が追加されたこと。設定温度に達するとファンが自動で止まり、対流の逆回転と組み合わせることでオーブン内の温度差をさらに抑えられます。この機能により、これまで苦手とされていたシュー皮・スポンジ・パウンドケーキ・パイなども、一般的なオーブンに近い状態で焼けるようになったとのことです。

一般オーブンとスチコンのメリット・デメリット

一般的なデッキオーブンのメリットは、構造がシンプルで操作しやすく、蓄熱性が高いため扉を開けても庫内温度が下がりにくいこと。一方で、内部の空気が対流しにくいため場所による焼きムラが出やすく、奥行きが深い構造のため火傷のリスクも高くなります。湯煎を使う製品では熱湯の扱いが必要になる点も注意が必要です。

スチームコンベクションオーブンのメリットは、温度ムラが少なく大量調理に向いていること、焼成時間の短縮、スチームによる乾燥防止、排気システムによる乾燥焼きのコントロール性の高さです。デメリットとしては、スフレタイプのチーズケーキなど熱風の影響を受けやすい製品には不向きな面があります。

得意・苦手なメニュー

得意なメニューはシフォンケーキ、デニッシュ、クロワッサン、プリン、クッキー、メレンゲ、マカロンなど。苦手なメニューはシュー生地(風の影響で形が歪になりやすい)、パウンドケーキ・スポンジ(4方から均一に火が入るため生地が伸びる前に焼き固まる)、バゲット(ファンが止まらず水分が蒸発して膨らみにくい)などです。

講習会での実演・試食

今回の講習ではシフォンケーキ・プリン・焼きドーナツの3品が実演されました。試食した感想をお伝えします。シフォンケーキは得意分野の筆頭だけあって、しっとりと優しい焼き上がりで合格点。プリンは滑らかな仕上がりで、好みにもよりますが十分なクオリティでした。焼きドーナツはロボクープ(Robot Coupe)を使った仕込みで、材料を入れて数秒で生地が完成する手軽さに驚きました。ドーナツ自体もしっかり焼き上がっていました。

ただ個人的には、ケーキ屋の基本中の基本であるジェノワーズ(スポンジ)を実演してほしかったというのが本音です。

実際に使ってみて感じたこと

メリットとして一番強く感じたのは、温度の上げ下げが素早くできる点です。デッキオーブンは温度を下げるのに自然冷却を待つしかなく、焼成順のスケジュールが崩れると大きなロスが生まれます。スチコンならそのロス時間を大幅に短縮できます。二番目は乾燥焼きの細かい調整が可能な点。シフォンケーキにはこれが特に活きます。三番目はプリンの湯煎作業が不要になること。熱湯の出し入れは力仕事であり火傷のリスクもあるため、女性スタッフが多いお店では特に価値があります。

デメリットとして感じたのは、扉が横開きのため開閉時に通路スペースが必要になること。また、パルスファン機能で改善されたとはいえ、まだすべての焼き菓子に対応できるわけではなく、汎用性はデッキオーブンに劣ります。価格も同容量のオーブンと比べると高めです。

まとめ

スチームコンベクションオーブンは、プリン・シフォンケーキ・マカロンなどを主力にしたいお店にはおすすめできます。ただし、ジェノワーズや焼き菓子を大量生産するメインオーブンとしては現時点では不向きで、初めてお店を開く方の1台目としてもおすすめしません。サブ機として導入できる環境なら、作業効率アップに大きく貢献する可能性があります。どのオーブンも癖を掴むことが大事——スチコンも使いこなせれば大きな戦力になると思います。引き続き研究して、また記事にしたいと思います。


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静岡県富士宮市青木で60年以上続く、地元に愛される和洋菓子の老舗です。

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営業時間:火〜日 8:00〜19:30(月曜定休)/住所:静岡県富士宮市青木325-12

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