スイーツ業界はいま、かつてないほど厳しい競争にさらされています。コンビニエンスストアが本格的にスイーツに参入して以来、ケーキ屋を営んでいる肌感覚として、コンビニスイーツの脅威とケーキ屋の活路をお伝えしたいと思います。
コンビニスイーツの影響力
コンビニスイーツはクオリティが年々上がっており、パッケージの研究も進んでいます。もはや「脅威」と表現するのが正直なところです。その背景には緻密な戦略があります。
まず「ついで買い」の心理を巧みに利用しています。お弁当やコーヒーを買うついでにスイーツを手に取る——食後に甘いものが欲しくなるという自然な欲求と、店内の導線設計が組み合わさっています。次に、テレビの企画枠を活用した話題づくりが効果的です。1つのスイーツに長い尺を使って特集されれば、多くの人が「一度食べてみたい」と思います。コンビニスイーツは一定期間で売り切り、次々と新作を投入するサイクルで回しており、リピートよりも話題性で集客する戦略です。さらに、SNSのプレゼント企画を活用し、流行に敏感なユーザー層を効率的に動かしています。
コンビニスイーツの弱点
強力なコンビニスイーツにも弱点があります。まず流通の問題です。輸送に耐えられる容器の工夫はされていますが、ケーキは本質的に壊れやすく、廃棄ロスが発生します。そのロス分はあらかじめ価格に転嫁されています。
次に鮮度の問題です。特に生クリームを使った製品の消費期限は本来その日限り。日持ちの問題は流通同様、価格に上乗せされています。また、法令上「生クリーム」と表示できるのは乳脂肪のみを原料としたものに限られており、多くのコンビニスイーツは「乳等を主原料とする食品」(ホイップクリーム)を使用しています。それでも満足感のある仕上がりを実現している技術は素直に認めますが、本物の生クリームとは別物です。
そして新商品の限界という問題もあります。話題性で売る戦略は常に新作投入を必要とします。しかしいつかは限界が来るはず。その時に彼らがどう戦略転換してくるのか、個人店としては気が抜けません。
ケーキ屋さんの商機
コンビニに押されているように見えますが、個人店にはまだ十分に戦える場所があります。
地産地消の強みを活かしましょう。地元の牛乳・果物・野菜など、個性を出せる素材は必ず周りにあります。地元素材を使ったお菓子はお客様にとっての魅力になります。季節限定商品も有効です。旬の素材を短い期間だけ提供する「今しか食べられない」感は、話題性と来店動機を生み出します。SNSの継続的な発信も欠かせません。一度きりの訪問客であっても、その中の数%がリピーターになれば着実に顧客が増えます。
そして最も大切なのが適正価格での販売です。大手はロス分を見越して価格を設定しています。個人店がそれを真似る必要はありません。材料に対して誠実な価格を設定し、作り手とお客様がともに幸せになれる関係を築いていきましょう。
まとめ
商売は長く続けることが将来の儲けにつながります。目の前の競争だけに目を向けず、10年・20年先を見据えた戦略を持ちましょう。誠心誠意、お客様に向き合うこと——それがケーキ屋が生き残り、儲け続けるための唯一の秘訣だと思っています。


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