30年でたどり着いた、なめらかなカスタードプリンの作り方|職人が配合を全部公開します

ショーケースに並んだカスタードプリン。プラスチックカップに入り、値札が添えられている お菓子の作り方

店に貼ってある、手書きの紙

新月堂のショーケースの上に、一枚の紙が貼ってあります。

店に貼られた手書きの紙。「材料は卵と牛乳 単純だから奥が見えない程深い」と書かれている

色々な種類や固さのぷりんを作って来たけれど、やっぱり心の底から あー美味しいなと感じるのは、昔なじみの “あの” ぷりん。

そこに行きつくまでが大変だった。

材料は卵と牛乳。単純だから奥が見えない程深い。

何度もなんども試行錯誤を重ねて…
やっと自分もお客様にも自慢できるぷりんに仕上がったかなと思っている

30年かけて、なめらかなプリンも、とろけるプリンも、練乳を使ったものも、変わり種も作ってきました。それで戻ってきたのが、昔ながらのシンプルなカスタードプリンでした。

ただ、昔のものをそのまま作っているわけではありません。焼き方だけは工夫しています。

この記事では、その配合と焼き方を全部お見せします。

レシピは、公開しています

職人にとってレシピは命より大事、とも言われます。

でも、うちは公開しています。

なぜかというと、同じ配合で作っても、同じものはできないからです。

粉の状態、卵の状態、その日の気温。同じ数字を並べても、手が違えば別のものになります。だからこれをベースに、皆さんがアレンジして、もっといいものを作ってくださればいい。そう思っています。

配合

新月堂で実際に使っている配合です。お店の一回分の量なので、家庭で作られる場合は割ってお使いください。

材料お店の分量家庭向け(4分の1)
卵(L玉)12個3個
砂糖280g70g
牛乳1200g300g
蜂蜜50g12g
バニラエッセンス少量少量

きれいに割れる配合になっています。3分の1でも4分の1でも作れますので、作りたい個数に合わせてください。

⚠️ 量を減らすと、焼き時間は短くなります。時間で決めず、後述の中央を押して確かめる方法で見きわめてください。

砂糖は三温糖と上白糖を1対1で使っています。コクを出したいからです。

金属のバットに並べて置かれた、三温糖と上白糖

材料のこと

牛乳はふじの国乳業のものを使っています。

富士宮市は富士山のふもと、朝霧高原にあります。乳牛の飼育数が非常に多い土地で、そこから厳選された牛乳をブレンドして作られたものです。

卵も、ふじの国の雄大な自然の中で放し飼いにされた鶏のもの。黄身の色が濃いのが、割ってみるとよく分かります。

シンプルな配合だからこそ、素材がそのまま出ます。

作り方

① 卵をブレンダーでほぐす

泡立て器ではなく、ブレンダーを使います。

理由は、白身のほぐれにくいところまで細かくほぐせるからです。ここが残っていると、口当たりに出ます。

ただし、空気を抱き込ませたくありません。ブレンダーは液面にべったりつけて回してください。持ち上げると空気が入ります。

全体がほぐれたら、砂糖を入れます。

ステンレスのボウルに入った卵液に、ハンドブレンダーを液面につけて回している

② 牛乳を温める

砂糖は、牛乳のほうに半量、卵のほうに半量入れます。

牛乳に半量入れて、火にかけて温めます。

③ 合わせる

温まった牛乳を、卵のほうへ加えていきます。

全量入ったら、もう一度ブレンダーをかけます。ここでも液面にべったりつけたまま。空気を入れないように。

最後にバニラエッセンスを少量

④ 裏漉しする

プリン液ができたら、裏漉ししながら容器に入れていきます。

砂糖が完全に溶けきっていなかったり、卵の殻がわずかに入っている場合があります。必ず最後は漉してください。ここを省くと、口当たりに出ます。

漉し器を通しながら、プリン液を容器に注いでいる

⑤ アルミのお盆をかぶせて、湯煎焼き

ここが新月堂のポイントです。

オーブンは下火145℃・上火165℃。あらかじめ温めておきます。

天板に沸騰させたお湯を張って湯煎焼きにします。水ではなく、お湯です。そのほうが時間が短縮できますし、そのぶん生地へのダメージが少なくなります。

そして——アルミのお盆をかぶせて焼きます。

これで舌ざわりのなめらかなプリンになります。上から直接火が当たらないので、表面が固くならず、中まで穏やかに火が入ります。

天板に並べられたプリンの容器

⑥ 焼き上がりの見きわめ

約25〜30分。ただしオーブンによって差が出ますので、時間はあくまで目安です。

見きわめ方は、中央を軽く押してみて、弾むような反発があれば焼き上がりです。

まだ少し揺れる、プルンとした状態で出して構いません。あとは余熱で火が入ります。

焼きすぎると「す」が入って、なめらかさが失われます。手前で止めるくらいがちょうどいいです。

焼き上がったプリン。カップに入って並んでいる

つくる様子を、動画で

ブレンダーの当て方と、焼き上がりのプルンとした揺れ方は、文章より映像のほうが分かりやすいと思います。字幕付きです。

店頭では

「空と大地のめぐみプリン」1個 税込250円で販売しております。

もうひとつ、「ポカポカプリン」もございます。屋久島のジンジャーシロップを合わせたものです。ノマドカフェさんが手絞りで製造されているシロップで、生姜なのにやさしい味なんです。うちのめぐみプリンと相性がよくて、並べて置いています。

新月堂(しんげつどう)
静岡県富士宮市青木325-12
電話:0544-27-0114
営業時間:8:00〜19:30/定休日:月曜日
※ 営業時間が変わる月があります。最新はInstagramの月間カレンダーをご覧ください。

まとめ

なめらかにするコツは、2つです。

  1. 空気を入れないこと(ブレンダーは液面にべったり/裏漉しする)
  2. 穏やかに火を入れること(お湯で湯煎/アルミのお盆をかぶせる/手前で止める)

配合はシンプルです。差が出るのは、この2つの扱い方です。

冒頭の手書きの紙に、こう書いてありました。

材料は卵と牛乳。単純だから奥が見えない程深い。

同じ配合で作っても、同じものにはなりません。だからこそ、作ってみてください。

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