お盆・お彼岸のお供えに「花まんじゅう」|職人が一つずつ絵を描く、富士宮の和菓子

袋詰めされた花まんじゅう。桃、茄子、花などをかたどった色とりどりのお饅頭が箱に並んでいる お菓子の作り方

お盆が近づくと、お供え物を何にするか迷われる方は多いと思います。

果物、お菓子、故人の好物。選び方はいろいろありますが、この時期になると新月堂の工房が色とりどりのお饅頭で埋まります。花まんじゅうです。

赤、青、桃、緑。ひとつひとつ、職人が手で色をつけていきます。

この記事では、そのお饅頭がどうやって作られているのか、そしていま作る店が減っているという話をご紹介します。

蒸し器の網に並んだ、花や葉の飾りをつけた蒸す前の花まんじゅう

花まんじゅうとは

大きめの小麦粉のお饅頭です。中は餡。ただし、生地そのものに色がついています。

食紅で色をつけた生地を使い、桃、茄子、柿、花——野菜や果物、花をかたどっていきます。ピンク、黄、青緑、白。この時期の工房には、その日に使う色の生地が並びます。

餡は商品によってこし餡と粒あん、両方ございます。

派手に見えるかもしれません。でもこれは、お供えする場のためのものです。

かつては、法事の返礼に

花まんじゅうは、もともと法事の返礼用のお菓子として知られていました。

いまはその用途で使われることは、ほとんどありません。時代とともに、返礼の形が変わったからです。

ところが、面白いことが起きています。

作る店が減ったことで、かえって求められるようになりました。「この辺りで花まんじゅうを置いている店がない」と、探して来られる方がいらっしゃいます。

用途は失われたのに、無くなりかけたことで価値が見直された。そういうお菓子です。

数に限りがありますので、ご予約いただいたほうが確実です。

三角べらと、抜き型で

飾りつけに使うのは、三角べら抜き型です。

三角べらは、和菓子職人が花びらの筋や葉脈を入れるときに使う道具です。先が三角に尖っていて、生地に線を引いたり、押して形をつけたりします。抜き型は、花びらや葉の形を抜くためのもの。

そして木型。長年使い込まれた木の型に、細かな模様が彫り込まれています。動画にも出てきますので、探してみてください。

これらを使って、一つずつ形をつけていきます。機械で同じものを量産する、というやり方ではありません。

だから、ひとつとして同じものはありません。

青緑に色をつけた饅頭生地を並べ、餡を包む職人の手元。手前に木の三角べら

一番むずかしいのは、「膨らむ」こと

ここが花まんじゅうの一番の難所です。

お饅頭は、蒸すと膨らみます。

つまり、飾りつけをしている段階の絵柄と、蒸し上がったあとの絵柄は違うということです。生地が伸びれば、描いた線も伸びます。花びらの形も変わります。

最初にイメージした通りに仕上げるには、膨らんだ後を見越して描かなければなりません。

そして、どれくらい膨らむかを決めるのが生地の硬さです。柔らかすぎれば大きく膨らんで絵が崩れ、硬すぎれば膨らまずに肌が荒れる。

この硬さの調整が、一番難しいところです。

数字で決められるものではありません。その日の気温、湿度、粉の状態。手で触った感触で合わせていきます。長年やっていても、毎回気を遣う工程です。

打ち粉をした木箱に並ぶピンクの饅頭生地と、細かな模様が彫られた木型

色に決まりはありません

「この色でなければいけない」という決まりはありません。

ただ、お盆やお彼岸に飾るものは、派手な色が好まれます。

普段のお菓子なら落ち着いた色を選ぶところですが、この時期は違います。仏壇に並んだときに、ぱっと明るく見えるほうがいい。迎える気持ちの表れなのだと思います。

新月堂でも、この時期は色を強めにしています。

つくる様子を、6分の動画で

ナレーションはありません。静かな音楽と、職人の手の動きだけの6分間です。

三角べらの動きと、蒸し上がったときの色の変わり方は、文章より映像のほうが分かりやすいと思います。作業のお供にどうぞ。

ご購入・ご予約について

5個入り1,350円(税込)
バラでの購入可能です
のしお付けできます
日持ち約2週間

この時期は数が集中します。ご予約いただいたほうが確実です。個数や色のご相談も承りますので、お早めにお声がけください。

新月堂(しんげつどう)
静岡県富士宮市青木325-12
電話:0544-27-0114
営業時間:8:00〜19:30/定休日:月曜日
※ 営業時間が変わる月があります。最新はInstagramの月間カレンダーをご覧ください。

硬くなったら、レンジで20〜30秒

日持ちは2週間ありますが、日が経つと少し硬くなります。

そのときは、袋から取り出して、電子レンジで20〜30秒温めてください。蒸したてに近い、しっとりした食感が戻ります。

袋のまま温めないでください。ここだけご注意を。

まとめ

お盆は、帰ってくる人を迎える行事です。

その席に、色のついたお饅頭が並んでいる。ただそれだけのことですが、受け取った方の記憶に残るのは、案外そういうところなのだと思います。

作る店は減りました。それでも作り続けているのは、探して来てくださる方がいるからです。

ご相談は、お早めに。

コメント

タイトルとURLをコピーしました