富士宮市青木の老舗・新月堂で、昔から変わらず愛されている洋菓子があります。洋酒の香りがふわりと広がる、大人のためのケーキ「サバラン」です。
店頭でもよく「これ、どうやって作っているの?」と聞かれる一品。今回は、そのサバランの“土台”となるふっくらした生地が焼き上がるまでを、工房から覗いてみましょう。
サバランの生地は、「ブリオッシュ」に近いパン
作業台にずらりと並んだのは、新鮮な卵、小麦粉、砂糖、牛乳、そしてバター。スポンジケーキとはちょっと違う、ずいぶんリッチな配合です。

それもそのはず。サバランの生地は、ケーキというよりブリオッシュに近い“発酵パン”なのです。ブリオッシュとは、卵とバターをたっぷり使った、フランス生まれのふんわりリッチなパンのこと。
この生地だからこそ、焼き上がりはふんわり、それでいてしっとり。あとから洋酒のシロップをたっぷり染み込ませても、崩れずにジュワッと受け止めてくれる——サバランのおいしさの秘密は、この“パンづくり”にあります。
大きなミキサーで、ツヤが出るまで
材料を業務用の大きなミキサーへ。混ぜはじめはぼそぼそしていた生地が、回し続けるうちにだんだんとまとまり、やがてツヤのある、なめらかな生地へと変わっていきます。

動画には「ここからはミキシングが続きますが」というひと言が。地味に見える工程ですが、ここでしっかり生地を捏ねることが、あの軽い口あたりを生む土台になります。
混ぜ終わったあとは、ボウルの内側に残った生地まで、ヘラできれいにさらえていきます。「できる限りきれいに。プロ魂です」——画面に添えられたこの言葉に、職人の性格がにじみます。
1グラムの差が、味の差になる
生地を休ませたら、いよいよ分け方の工程。ここで職人がこだわるのが、ひとつひとつの重さです。
「パン生地は1〜2グラムの差が大きいのです」
たった1〜2グラム。けれど発酵して、焼いて、シロップを含ませると、その差は仕上がりにしっかり出てしまう。だからこそ、ひとつずつていねいに計りながら、同じ大きさに分けていきます。
分けた生地は、紙のカップへやさしく収めて。「今日も綺麗にできました」の文字どおり、整然と並ぶ姿は見ていて気持ちがいいほどです。
ふっくら、こんがり。焼き上がりの瞬間
紙カップに入った生地は、あたたかい場所でゆっくり発酵。ぷっくりと丸く膨らんだ姿に、思わず「めちゃ綺麗」とテロップが入ります。

そして焼き上げへ。オーブンから出てきたのは、こんがりと黄金色に色づいた、つやつやのサバラン生地。ふっくらと帽子のように膨らんで、香ばしい香りが工房いっぱいに広がります。
この焼きたてのパン生地に、ラム酒とブランデーをたっぷりと染み込ませ、クリームを添えれば——口に入れた瞬間にじゅわっと洋酒の香りが広がる、大人のサバランの完成です。お酒の余韻がふわりと残る、ちょっと贅沢な味わい。

※動画では、生地を仕込んで焼き上げるまでの工程を中心にご紹介しています(洋酒を染み込ませる工程は映っていませんが、動画の最後に完成した姿もご覧いただけます)。
食べたい方は、ご予約が確実です
一見シンプルに見えるサバランですが、その裏には「1グラムを大切にする」職人の手仕事がありました。
新月堂のサバランは、今では通年お楽しみいただける人気商品。ただ、その分早い時間に売り切れてしまうことも多い一品です。「どうしても食べたい!」という方は、ご予約が確実。お電話でお気軽にどうぞ。
富士山のふもと、富士宮の街で60年。お近くにお越しの際は、ぜひ大人の香りのサバランを味わってみてください。
新月堂(しんげつどう)
静岡県富士宮市青木325-12/8:00〜19:30/定休日:月曜/TEL:0544-27-0114

コメント